クリエイティブノート

ニューヨーク近代美術館のパーマネントコレクションをはじめ、
優れたクリエイティブな世界をお届けいたします。
あなたの身近なところに歴史的にも優れたデザインやアートがきっとあるはずです。


Nanna Ditel ナナ・ディッツエル(デンマーク・コペンハーゲン)

(1923年~2005年)

たまご型が愛らしく、ゆらゆらとした浮遊感が心地よいこの椅子。デザインしたのは、デンマーク・コペンハーゲンの女性デザイナー、ナナ・ディッツエルです。
彼女のデザインキーワードは「曲線・楕円」。女性ならではの優雅で洗練されたフォルム、空間の主役でありながら、シンプルなデザインで、優しさと柔らかな印象を受けます。このまるい形を作っている素材は、これからの時期に最適なラタン(籐)が使用されています。ラタンは非常に生命力の強い植物で、自然にグングン成長するエコマテリアル。製品化された後も呼吸を続けるラタンは、通気性に富み、高温多湿な夏には湿度を下げ、乾燥する冬には湿度を上げてくれます。

節電が叫ばれる中、最小エネルギーで、暑さを和らげながら快適に過ごす工夫が必要です。素材や空間の作り方を工夫し、デザインすることで、心地よく優雅な暮らしができることが学び取れる椅子です。

Frank O. Gehry フランク・オーウェン・ゲーリー(アメリカ)

(1929年2月28日~現在)
ロサンゼルスのディズニー・コンサ−トホールやプラハの踊るビルなどで有名な建築家フランク・O・ゲーリーにより1970年にデザインされた段ボール家具シリーズ「イージー・エッジズ」から、ヴィトラ社により復刻された「Low Table Set(ローテーブルセット)」を紹介します。
「段ボール」で椅子を作るという発想は、極めて現代的で革新的な建築造形を得意とするゲーリーのユニークさを象徴しています。
様々なシーンで活躍する3つのローテーブルのセットで、横に並べたり、縦に重ねて棚として利用したり、時には椅子としても活用できます。
見えない所にスチールロッドやウッドによる補強がなされており、強度が確保された実用的な家具。和のシーンにも洋のシーンにも似合う家具です。

ゲーリーは、2006年より、ティファニーのジュエリーデザインを多数手掛けています。
革命的で斬新なゲーリーの大胆な世界観を、美しさと共に身に付けられます。
2007年6月2日より、渋谷のBunkamuraル・シネマほかにて、彼を題材にしたドキュメンタリー映画『スケッチ・オブ・フランク・ゲーリー』が公開されました。
革命を必要とする今、彼の思考と歩みを鑑賞してみてもいいかもしれません。

Mario Bellini マリオ・ベリーニ(イタリア)

(1935~)
新緑が美しい季節がやってきました。風が気持ちよく、読書や勉強が楽しめますね。そんなシーンに最適な椅子をご紹介します。
マリオ・ベリーニは、建築家であり、イタリアを代表する多才で影響力のあるデザイナーの一人です。タイプライターに代表されるオリベッティ製品、カッシーナやB&Bイタリア、ヴィトラなどの家具、ブリオンヴェガやヤマハの電気製品、アルテミデ、フロス、エルコの照明など数多くの名作をデザインしています。
キャブ・チェアは、スチールフレームに厚い鞣し革のジャケットを着せるという画期的な発想で20世紀のデザイン史を代表するチェアとして広く知られています。
レザーならではの、優れた掛け心地好さ、フィット感、イタリアらしい色合い。
シンプルでありながら、味わいのあるデザインが、様々なシーンで使われている椅子です。イタリア・カッシーナ社から販売されており、ニューヨーク近代美術館にもコレクションされている逸品です。





HUNTER ラバーブーツ(本社スコットランド)

(創業1856年~)

4月は、始まりの季節です。春なので、ガーデニングや畑を始める方も多いと思います。
最近では、フィールドブーツがファッションに敏感な女性たちの間で注目を浴びています。
ワンピースやショートパンツなどに合わせて履いている姿をよく見かけますね。

今から約50年前、ラバーブーツといえば黒が当たり前だった時代にグリーンのブーツを発売して話題となったHUNTER(ハンター)は、
英国王室御用達のブランドです。
スタイリッシュで印象的なシュルエットは、ラバーブーツブームの火付け役となりました。
狩猟用としてはもちろん、イギリス軍の軍用品として、その機能性も認められた格式のあるブランドです。
28パーツからなる手作業により丁寧に作り上げられたブーツは天然ゴム製なので、合成ゴムと違いムレにくいのが特徴です。
足にピッタリフィットして、非常に履き心地が良いです。

おしゃれにも、実用的にも最適なラバーブーツで、外に出かけましょう。
いままでの「快適な暮らし」を見つめなおし、人や地球にやさしい「快適な暮らし」へ一歩踏み出せるブーツになるかも知れません。

岡本太郎

(1911年2月26日~1996年1月7日)

「芸術は爆発だ!」この台詞はみなさんご存知ではないでしょうか。そう、日本を代表する芸術家・岡本太郎の残した名言です。
今年は、生誕100周年として、ドラマ・美術紹介など、多くのメディアで「岡本太郎」の名前を耳にすると思います。
2011年3月8日(火)からは、東京国立近代美術館で回顧展が開催されています。

太郎は、1970年大阪万博で発表された「太陽の塔」をはじめ、平面・立体作品を数多く残し、文筆活動も精力的に行いました。
抽象絵画やシュルレアリスムとも関わり、縄文や沖縄の魅力に再注目した人物でもあります。
また、美術作品を限られた人だけのものとせず、誰の眼にも触れることのできるように、積極的に壁画や野外彫刻を制作しました。
そんな奇才・岡本太郎の作品が、この岡山にもあります。それがこの「躍動」です。
JR岡山駅・山陽新幹線への導線(1F)に、1976年3月、山陽新幹線開通に合わせて作られた陶板作品。
あらゆることに力強く、自身を持って立ち向かって生きた太郎のエネルギーが感じられます。
一度立ち止まって、じっくり眺めてみてはいかがでしょうか。